(動脈解離を乗り越えて。パートナーSの場合〜入院編1)そして始まった長い長い入院生活。何が必要で、何をしなければならないか、わからないことだらけの中で。

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最初の目安は「2週間」程度・・・

 パートナーのKが動脈解離と診断されてから、最初のうちは「動脈解離」とはなんぞやということを、ネットで調べまくりました。
 当然のことながら、専門的なサイトがほとんどで、読み込むだけで精一杯。「血管」が三層から成っているなんてことも、初めて知ることばかり。
 そんななか、当初先生から説明を受けたのは「2週間程度様子をみてみましょう」ということでした。いろんなサイトで得たにわか知識でも、大体2週間から4週間で退院とあったので、スタンダードなんだなと、目安が出たことで安心していました。

長引く高熱と、下がらない血圧。そして点滴で腫れ上がる手の甲と・・・。

 Kの場合、入院生活に入ってからおよそ1ヶ月たらずの期間、ずっと高熱に悩まされました。そして、血圧も高いままに不安定で、このことが、治療の進まない原因の一つでもあったようです。これまで病気らしい病気をしている様子を見たことがなかったこともあり、高熱にぐったりとしている姿に、オロオロするばかり。そう、当初先生から聞かされていた「2週間」という目安は、本当に「目安」だったんです。
 Kは、緊急搬送されて6日間はCCUに、そしてその後HCUというナースステーションの隣の6名程度の大部屋に移り、入院14日目に一般病室に移りました。病室の環境には、本人よりも私の方が神経質になっていたかもしれません。普段、1人でいることに慣れている人なので、他の方との同室生活は、夜寝られるんだろうかなどと心配ばかりしました。実際、突然大きな声を出してしまわれる方もいらっしゃったので、夜中などどうなるんだろうとヒヤヒヤしましたが、さすがに一晩でいずれかのお部屋に移動してくださったのでそこは一安心。
 けれどその頃の本人は、続く高熱と、30分毎に自動で腕を圧迫してくる血圧測定器に容赦無く眠りを妨げられ、その上無数の点滴やらなんやらで身動きがとれないばかりか、途切れることなく差しっぱなしの針のせいで、手の甲は文字通りグローブのように腫れ上がり・・・そんな身体的な苦痛との闘いに、病室の環境どころではなかったかもしれません。
 ちなみに点滴は、29日目にようやくはずれ、それと共に腫れ上がった手も、徐々に元に戻っていきました。

新型コロナウィルス感染拡大と共にあった入院生活

 2020年4月7日(火)夕方、大阪を含む7都府県に、緊急事態宣言が発出。これをうけて、Kの入院する病院も4月11日から完全面会謝絶という通達が。
 これには、本当にまいりました。というのも、この頃のKは、病院食をまったくといっていいほど口にしなくなっていたのです。栄養士さんと相談しながら、毎日私が運び入れる食べ物のみ、かろうじて食べるという状態だったため、面会がアウトになったらどうなるのだろうと、目の前が真っ暗になりました。
 結局、Kが入院したこの頃は、看護師さんにご配慮いただいて「ものを運び入れるだけ」を認めていただき、Kの顔をみてご飯を渡して洗濯物を入れ替える、というルーティンを2〜3分で手早く行って帰る、またはKの具合がいい時は、連絡をとりあってエレベーターホールで物の受け渡しをする、という繰り返しを送ることができました(今はもう、すべてナースステーション経由になっています)。
 病院に入る前に、念入りに手指に消毒液をすりこみ、万が一にもウィルスを持ち込まないよう、神経をつかっての物の運び入れ。別れ際に「頑張って!」とハグも握手もできません。グータッチで励まし合う、そんな毎日でした。

 コロナ禍のなかにあって、手に入らないものもたくさんありましたが、やはりマスクと消毒液、そしてウェットティッシュには苦労しました。
 このウェットティッシュには本当に困りました。入院に必要なものの中にリストアップされていますし、自由にベッドから移動して手を洗ったりできない身には、やはりウェットティッシュは必須。何件もスーパーやドラッグストア、ホームセンターを周り、ようやく見つけても「お一人様1つ」。母と2人で一生懸命確保しました。そのせいか、豊富に手に入るようになった今でも、目に入るとついつい買ってしまいそうになります。

 入院生活中、最も苦労した「食事」や、揃えて便利だった入院グッズについては、後日また詳しくアップします。

限度額適用認定証の取得

 入院から3日目に、事務の方から限度額適用認定証を取得しておくよう教えていただいたので、休みを利用してすぐに役所に行きました。

 健康保険には、病気や怪我などで医療費の負担が大きくなった時のために、「高額療養費制度」が用意されています。「限度額適用認定証」を取得し、病院に提示することで、請求される医療費が、この「高額療養費制度」における自己負担限度額までとなるため、支払う医療費を減らせることはもちろん、あとから払い戻しの申請をする手間もかからないとのこと。
 今回のKのように、あきらかに医療費がかかりそうだったり、大きな手術が控えている場合には「限度額適用認定証」は必須アイテムといえるでしょう。

 ネットで調べると、K(本人)の国民健康保険証と私の身分証明があれば、区役所の窓口に行って申請書類を記入すればよいようでしたので、必要なものを準備して窓口に提出すると、5分もかからず手続きは完了しました。つくづく、保険ってありがたい制度だと思います。びっくりするような金額を心配しながらなんて、治るものも治りませんもんね。


 たくさんの方々に助けてもらいながらの入院生活。とくに日々接する看護師の皆さんにはとてもお世話になりました。通常であれば、家族がやるようなことも「全病棟面会謝絶」の環境下では、看護師さんの手を煩わせることになり、その負担たるや想像を絶します。本当に感謝しかありません。

 まだまだコロナとの闘いは続きます。症状がないだけで、自分だってウィルスを持っているかもしれないということを常に意識して、「人にうつさないこと」でコロナ患者を減らすことが、医療従事者の皆様に対して我々ができる、唯一の「感謝の気持ち」だと強く思います。

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